Arduino(あちゃんでいいの)によるI2C EEPROMのエミュレーション (2)
前回の続きです。
保存先をmicroSDカードにしました。これによりIchigoJamで利用出来るEEPROMと同等の
容量(128kバイト 128本のプログラム保存)となりました。
エミュレションのターゲットは Microchip社の24LC1025(容量 128kバイト)です。
開発はArduino(あちゃんでいいの)を使い Arduino IDE 1.6.8を利用しました。
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Arduino(あちゃんでいいの)でmicroSDカード利用の動作確認
Arduino1台で複数のI2Cスレーブを実装する
実験中の画像
ブロック図的なもの
機能としては、EEPROMと同様に、
IchigoJamの標準コマンド LOAD、SAVE、FILES、LRUNでプログラムの保存、読込、
実行が可能です。保存したmicroSDカードはもちろんパソコンでも利用出来ます。
SDカードに保存するファイルの形式は2つのタイプをサポートしました。
1)バイナリ形式(IchigoJamメモリー形式)
2)テキスト形式
1)はIchigoJamのメモリー上、またはEEPROM保存形式です。テキストエディタで編集する
ことが出来ません。2)はテキストエディタで編集可能な形式です。
バイナリ形式は、プログラム領域(1kバイト)の未使用部にデータを埋め込で利用する
IchigoJam的プログラミング・テクニックが存在するのでサポートは必須ですね。
ただし、この形式だとパソコン上での編集が面倒です。
そこで、テキスト形式もサポートすることにしました。
実際のmicroSDカードの中身
保存するテキストファイル名はIchigoJamのプログラム番号に対応しています。
IchigoJamではEEPROM上のプログラムは100~227の番号で指定しますが、その番号を
ファイル名にしています。
拡張子はバイナリ形式がDAT、テキスト形式がTXTです。
新規保存の場合はXXX.DATのバイナリ形式で保存されます。
(デフォルトはバイナリ形式としています)
テキスト形式で保存を行う場合、microSDカードにあらかじめXXX.TXTファイルを
作成しておく必要があります。
(保存時に拡張子をチェックし、TXTであればテキスト形式で保存している)
テキスト形式の場合、未使用領域へのデータ埋め込みは出来ません。
保存時に消えてしまいます。
ファイルの日付は現時点では"2016/05/01"固定です。
スケッチ(プログラムソース)
ソースを公開します(注意: まだまだ動作確認不十分です^^ )
ダウンロード Ichigoepprom3.zip (6.4K)
実行にはSDカードモジュール、I2C接続、Arduono 3.3V稼働環境が必要となります。
プログラムの実装について
SDカードの利用はArduino IDE 1.6.8の付随するSDライブりを利用しています。
I2C通信については、Arduino IDE 1.6.8の付随するWireライブラリを修正して利用してます。
今回の実装でIchigoJamがI2Cマスター、ArduinoがI2Cスレーブの構成です。
ArduinoのI2C(Wire)ライブラリは、 "受信データがMAX 32バイト、スレーブとして利用する
場合、スレーブアドレスを同時に複数もてない" 制約があります。
この部分を修正し、受信データ MAX 64バイト、スレーブアドレス複数対応しました。
(修正については大したことはやっていません)
ちなみに、Wireライブラリはハードウェア依存のためか、次のディレクトリに入っています。
(インストール先 先頭フォルダ名は各自の環境により異なります)
\Arduino 1.6.8\hardware\arduino\avr\libraries\Wire
せっかくなので改良版ライブラリを置いておきます(上記フォルダに入れ替えで利用)
改良版 Wireライブラリ: ダウンロード Wire.zip (16.6K)
既存のライブラリと置き換えても問題は発生しないと思いますが、
修正部分を無効化できるよう、ライブラリフォルダ内の"WIRE_EXPANSION.h"
にて設定出来るようにしました。
WIRE_EXPANSION.h の WIRE_EXPANSION を 0 にすると無効になります。
この修正版を使ってスレーブアドレス複数対応を利用する場合は、次のような記述をします。
#include <Wire.h> extern "C" { #include <utility/twi.h> } #define DEVICE_ADDRESS 0x50 // 24LC1025 I2Cデバイスアドレス // I2Cマスタからのデータ受信ハンドラ void receiveEvent(int len) { uint16_t slaveAdr; // マスター要求スレーブアドレス slaveAdr = twi_get_address(); // ターゲットスレーブアドレス ・・・ } void setup() { Wire.begin(DEVICE_ADDRESS) ; // I2Cの初期化、自アドレスをA0とする twi_set_addressMask(B00001000); // 複数アドレス対応 DEVICE_ADDRESS+0x04 も許可) Wire.onRequest(requestEvent) ; // I2Cコマンド要求割込み関数の登録 Wire.onReceive(receiveEvent) ; // I2Cデータ受信割込み関数の登録 ・・・ } void loop() { ・・・ }
具体的にはsetup()のWire.begin(DEVICE_ADDRESS)の直後に
twi_set_addressMask(B00001000);
でアドレス一致チェックで無視するビットをセットします。
7ビットアドレス(下位ビット未使用)なので、0x50(DEVICE_ADDRESS)の他に0x54も
利用したい場合は、0x04<<1 ( = B00001000 ) を引数に指定します。
複数のアドレスの判定は、 データ受信時のハンドラ receiveEvent(int len) 内で
twi_get_address()
を使って実際のターゲットとなるスレーブアドレスを取得することが出来ます。
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